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阪田啓一郎 シューズへのこだわり

2018/08/15
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小河内岳避難小屋での展示会で、阪田さんが妙なことを言い出した。
「シューズをカスタムしてほしい」

話を聞いてみるとこうだ。

「トレイルランニングシューズって、アッパーが足にフィットしないんだよ。確かに剛性は必要なんだけど、ランニングシューズのようなフィット感が欲しい。原因はシュータンの分厚さにあると思うんだ。シュータンを薄くできないかな?なんなら、なくてもいいよ。」

僕を始め、福井さん、上宮さんも、あまり意味を理解できない。(いや、シュータンは必要でしょ。)

確かにトレランシューズのアッパーはボリューミーだけれど、そのフィット感を向上させるのにシュータンの改良が役に立つのだろうか。

山を下りた次の日、早速阪田さんが買ったばかりの新品のシューズを持って、工房に現れた。(長野側から下山し、三重でのイベントをこなし、千頭まで。タフだ。)

彼の新品のギアにハサミを入れるのはこれが初めてではない。
彼は気に入らないところがあるとすぐに僕のところへ持ってくる。
(本人は駆け込み寺、と言っている。)

タンを切ってしまおう、という荒治療の前に冷静になり、ボリュームのあるタンを解剖してみることにした。


中に入っていたのはスポンジ。
それも、洗車後に水を拭き取るそれのような、あるいはグラウンドの水たまりを吸い取るそれのような、吸水性抜群なスポンジだ。
両面をしっかりと接着してあるけれど、地道に剥がしていけばとり除けそうだ。

試しにスポンジを取り除いたシューズを阪田さんが履いてみると、してやったりの笑顔。
狙い通りのフィット感らしい。

僕も履き比べさせてもらう。確かにアッパーの包み込み方が雲泥の差だ。
(小河内での半信半疑な態度を謝らなくては、、。)



中身を抜いたシュータンを再び縫い合わせ、成型する。
ミニマムなタンは、逆に美しいと思えるほどだ。
かかとのループも「いらない」という理由で切り落とし、カスタム終了。

これは、僕のシューズもやりたくなるな。

最高のギアが完成し、満足そうな阪田さんは、再び南アへ向かっていった。

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