Aqua stealth river crampon
2019/12/28
Category: Diary
未だアクアステルスソールを超えるフリクションを味わったことがない。
沢登りや渓流釣りに用いるウェーディングシューズは、フェルトソールとラバーソールの二つに大別される。
ヌメのついた川ではフェルトに分があるが、僕のメインフィールドとなる大井川のような山岳渓流ではラバーソールを好む方も多いと思う。
また、ニュージーランドのようにフェルトソールを認めていない国もある。
吸い付くようなアクアステルスソールの感覚は多くのユーザーに愛された。惜しくも廃盤になった時は残念、というよりか本当に困ったものだ。次に何を履こうか。僕にとっては一択だった。
大井川を遡行して稜線へ立つ。
というのが僕のここ数年のスタイルだ。
本流筋は大きな滝もほとんどなく、現れても簡単に巻けることが多く、ザイルを必要としない行程だ。クライミング要素は少ない。
ニュージーランドでの旅も同様だ。僕の選ぶ多くのルートは渡渉が当たり前。川を遡り峠を越えていく。
どちらも、もちろんフライロッドを携える。
南アとNZ。
僕を魅了する両者とも、いちばんの問題点は足元なのだ。
バックパックを背負って旅をする以上、荷物をミニマルにすることは大前提。
川を歩くにはウェーディングシューズが必要になるし、稜線ではトレイルランニングシューズがほしい。
南アルプスでは二足持参し履き替えたこともあるがあまり良い選択肢ではない。水を吸ったシューズは重い。そして嵩張る。
そんな時、アクアステルスソールのリソール(張り替え)用のソールを手に入れた。
以前は市販されていたこともあるが、廃盤になった今はもちろん手に入りにくい。
そこでふと思い立った。このソールを靴に履かせるのはどうだろう。
ここ数年僕は軽い雪山にはチェーンスパイクを愛用している。脱着の容易さはもちろん、使っていても全くズレることがない点が気に入っている。
このチェーンスパイクのズレにくさを活かし、アクアステルスのクランポンを製作することとした。ないものは作るしかない。
アクアステルスソールを、普段履くALTRA/KING MTのソールサイズにトリミングする。
チェーンスパイクのチェーンを切り、ラバーのみの状態にし、ワイヤーを使ってソールを接続する。簡単に書いたが、結構骨の折れる作業だ。
思った通りのギアが出来上がった。
履いてみたがズレる感覚は皆無だ。
重量は160g。奇しくもチェーンスパイクと同じ重量。及第点だ。
折りたためばかなりコンパクトになるのでザックに仕舞うのも苦にならない。
もちろんクライミング要素の強い沢登りには使用できないだろう。でもぼくのスタイルにはこんなギアが必要だった。
あとは現場で試すのみ。
ソールのフリクションは折り紙付きだ。
問題は現場でもズレることなく使用できるか。
そしてワイヤー部分の耐久性、といったところか。
最高の道具になるかもしれない。
そんな期待がよぎる、久々の道具だ。